「雇用能力開発機構の廃止」やその関係事業の縮小。
また、昨今の「派遣切り」に伴い社員寮などを追い出された失業者の社会問題化。
以上の2点より、仙台市内の雇用促進住宅事情を調べてみたところ、これはよろしくない。
そもそも私はその関連事業に関してはほとんど知識はないが、明らかに見直しに迫られているように思われる。
特に、仙台市内の経営者の視点としては以下の点で、problematicである。
(問題点)
・なぜか市内南東(太白区の一部の地域)に集中している。かつ、公共交通機関が十分に整備されているとは言いにくい。
~つまり、もし失業者が再就職に向けここに居をかまえたとしても、安価な公共交通機関で出勤ができず不便である。また、都心など市のビジネスの中心から離れているため、再就職の際の勤務地が限られる可能性がある。
・勉強不足かもしれないが、仙台市内に住む人間として、雇用促進住宅の存在を知る機会がほとんどない。
~制度の周知が必要ということだ。
とはいえども、管轄団体の統廃合や制度の存続も危ぶまれる中、いまさらどうこう言うのは遅すぎる感があるが。
まぁ、なぜこのことについて調べたかというと、比較的資金等を抑え、求職者に有利な労働環境を整備するには、と考えたところ
・安価な住宅を紹介できれば、新入社員の負担が減るだろう。
・また、そのような住宅が近くにあれば、これは願ってもない。
ということがあったからである。
「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」という言葉。孟子だったか。
天の時は仕方がない。
仕方がある、どうにかしようがあるのは「地の利と人の和」ということだろう。
経営陣には都合が良いかもしれないが、職場の近くに安価な生活拠点(住居)があるということは、単純に考えても
・小さい子供のいる家庭では、子供の病気や問題がある際には、すぐに駆け付けられる
・この時勢やむを得ないであろう残業があろうとも、すぐに帰られる。本人の負担が減る。
・会社ももちろん、交通費分を会社のための資金に使える。
ことがあるわけだ。
次に具体的数字を考えてみると、まず私の調べた範囲だと、独居の場合は1~3万円程度は平均的なアパートよりも安く、入居できる。まず、本人の負担はこれだけ減る。
次に、交通費。馬鹿をいっちゃいけない。40分も1時間もかけて通勤せずとも、健康のためなどでも歩いて、5分10分で出勤できる距離が良い。
40~1時間かかることであれば、たとえば交通費であれば5000円から1万少々程度違うか。
これだけで、最低1人当たり15,000円から最大35,000円ほど違うわけだ。
ただ、これは目先であって、間接的な物の方が私は大きく思う。
すなわち、家族のために早く帰れたり、本人の負担が減るということだ。
これも具体的に上げれば、案外夫婦共働きなどの家庭では、食事も「できあい」のものであったり、店屋物になる頻度が高く思われる。
不思議に思うのは、「ひぃひぃ」残業をしつつも、帰りにスーパーの総菜(作れば30%程度の金額でできそうな物)や、店屋物を夕食としている方は多いように感じられる。
「ひぃひぃ」残業した分が時には、その日の手抜きご飯代に全部消えることもあるということだ。
常に自炊をしろとは言わないが、自炊を中心にすれば
・疾病の罹患率の低下(医療費の圧縮)
・栄養や健康に配慮した生活(処々の意欲の向上へもつながるか)
・言わずもがな、食費の削減
も可能であろう。特に、医療費の圧縮などは昨今の社会福祉予算の爆発への抑制、国力の維持にもつながるわけだ。
今後日本は、人口減に直面するだろう。
しかしながら、案外不動産は飽和している。そして、2008サブプライム不況は不動産業界へ大打撃を与えた。
不動産は供給飽和となっているわけだから、国が社会福祉・雇用促進、支援の一貫としてこれらを借り上げても国民は歓迎しても批判はしないだろう。
そのうえ、供給飽和の時期というのは、商品(不動産)価格は低下する。国にとっても今が買い時というわけだ。
次に、不動産業界にこのような需要をもたらせば、この業界の支援にもつながる。
条件が合えば、個人オーナー、民間中小オーナーの住宅を国が借り上げる制度を実現してもそれほどおかしな話ではないように思われる。
*入居者の保証、管理修繕リスクなど各論については、少々専門家の補足が必要と思われるが。
それにつけても目先の「お金」も問題だが、どちらかというと働く人の支援が大切だと感じる。
大体の小さい子供のいるお父さん、お母さん方に「給与1~2万プラスか、残業削減、どっちが良いか?」と言えば、案外悩みどころではないだろうか。
まぁ、その「給与プラス」については、また別の議論が必要だろう